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ANA機体整備工場

ライト兄弟が、何人兄弟だったか、すぐ答えられるだろうか?
気になる人は、検索してもらえればいいのだけれど、実はある場所でその答えを聞くことができる。そう、今回訪れたANA機体整備工場だ。
東京モノレール「新整備場」駅から徒歩約10分。 ANA公式ホームページより予約の上、なんと無料で見学ができてしまう人気のツアーに、参加させてもらった。

飛び降りても大丈夫!?ぐらい錯覚する。

 初めて高速道路を運転した後、一般道に降りた時に感じる、車や風景の極端な遅さ。免許を持っている人なら誰でも感じたことがあるだろう錯覚だと思う。

 人の感覚は実にだまされやすい。

 常日頃暮らしている常識の範囲を超えると、いともカンタンに錯覚に陥る。そんなことをはじめの一歩から思い知らされるのが、この整備工場だった。

 「みなさんの前方にあるあの時計、直径が1.8mあります」

 1.8mっていうと、大体自分の身長位なんだけど、まあせいぜい学校の教室にかけられていた時計くらいの印象。何しろひとつひとつのスケールが、大きい。

 工場見学コースの入口から3階通路に出ると、ずらりと並んだ飛行機たち。ANAの主力機であるボーイング767の尾翼の高さくらい、ビルの4階分、16mほどの高さにある通路なのだが、あまりに飛行機たちが大きいため、何となく高さの感覚がずれている。

 高いところが苦手で、3階以上の高さから下を見ることもイヤな私なのに、ぴょんと飛び降りても、大丈夫なような気がしてくるのが不思議だ。普段見ているものや大きさの感覚を計る尺度が、完全にずれてしまい、スケール感がつかめなくなる。

 この感覚を体験するだけでも、来る価値はあるんじゃないだろうか。

まずはお勉強が基本でう。でも楽しくね。

 実際の工場見学の流れはどうなっているかと言えば、まずは「ネットで申し込み」→「当日、現地に集合」→「飛行機や整備に関する講習」→「実際の整備工場見学」という感じ。

 当日受付を済ませてまずは講習。いかにも退屈しそうなものだけれど、そこはさすが。クイズ形式で見学者を飽きさせずに、しかも実際の見学への期待が否が応でも高まる仕掛け。冒頭のライト兄弟の答えも、ここで教えてもらえる。また、飛行機が組み立てられる過程を早回しで紹介するビデオやANA職員の普段見えない仕事の内容など、見ていて興味が尽きない。

 実際の職員の皆さんの仕事ぶりを見てしまうと、今後飛行機に乗る際、思わず「頑張って」と声をかけたくなってしまうのは、ANAの戦略なのだろうか。まんまとその手にハマッてしまった。

 CAの人たちはもちろんのこと、空港のカウンターなどで働く人たちの、今まで知らなかったあんなことこんなことは、やはり運輸に携わる人たちの綿密さを思い知らされてしまう。

 その他にも、最新鋭の飛行機の素材を触れたり、ファーストクラスのシートに座れたりと、なかなか楽しみが多い。あと、クイズの度にもらえるANAオリジナルグッズが地味に嬉しい。タダだしね。

 会場入口にある「見学者50万人突破」の看板、そりゃこれだけ至れり尽くせりなら、納得だ。

いよいよ。いよいよだ。

 講習会後、一人ひとりにヘルメットが配られいざ整備工場へ。どうでもいいけど、ヘルメットってかぶると妙にテンションがあがるのは、私だけだろうか。共感者がいると信じて、先に進もう。

 整備工場の第一印象は前述の通り。

「今日は皆さんラッキーです。4機も飛行機が入ってますよ。また、風向きが合っているので整備工場前を着陸する飛行機を見ることもできますよ」

 とはツアーガイドさんの言。実際、何基整備工場に入っているか、どの機体が入っているかなどは運次第。最大7機まで同時に格納可能なこの工場、この日はボーイング767が3機、さらに大型の777が一機、整備に入っていた。そして実際に手が届く距離にまで近づいていく。

 と、その前にタイヤ。大きさも異なるいくつものタイヤが並ぶ。しっかし、思うんだけど飛行機のタイヤって、その機体の大きさに比べて小さすぎないだろうか?ちなみに飛行機のタイヤの中に詰められているのは窒素ガス。引火しないガスで、しかも窒素ガスを入れたタイヤは丈夫らしい。

 タイヤに関する説明を受けた後、ギリギリまで飛行機に近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、でかい。

 いや実際見てみると、そんな月並みな感想になっちゃうんだ、ホントに。

 まず、機体と自分との距離感がつかめなくなる。その上、触れられるほどに近づいていっても、想像以上の大きさのため、大きいことは理解できても、「どの位大きい」を計る感覚がうまく働かない。エンジン一つ見ても、2mなんだか5mなんだか、わからなくなってしまう(ちなみに2.8mだった)。

 いやぁ、やっぱりこのサイズが空を飛ぶって、ますますピンと来ない。

色々発見、いろいろビックリ。

 ちなみにこの整備工場、365日、24時間稼働しているという。2万3000平方m、東京ドームグランドの1.5倍の広さがあるらしい。そのため、空調は一切効かない。夏も冬もそれぞれツライ環境らしい。

 そんな中、離発着を繰り返す飛行機は最短で375〜600時間に一度、ここで整備を受ける。当然空港での点検は常時繰り返される。これだけの作業をしているのも、やはり安全のことを考えてのもの。オールマイティに整備を担当するチーム、電装関係の専門チーム、構造関係のチームとそれぞれ分担を定めて整備を繰り返すスタッフたち。その工具一つとっても、機内に置き忘れのないように、一人ひとり専用の工具箱を持ち、いちいち一つひとつの工具が揃っているかどうか、厳しいチェックが行われるらしい。

 ここまでしないと、やはりこれだけのものを空に安全に飛ばせないんだろうな、と妙に納得する。

 ま、マジメな話はここまで。見学中に教えてもらった飛行機の発見をいくつか紹介しよう。

1.主翼には、人が入れる。
  主翼の中に、飛行機の燃料は積まれている。ということは、燃料の入った翼もキレイにしてあげる必要がある。ということで、翼の下に小さな穴がいくつも空いている。実に小さく見える穴が、人の入る入口。そんなものがある。

2.右が緑、左が赤。
  主翼先に付いている誘導灯の色のこと。コレさえ覚えておけば、正面から見た飛行機がこっちに向かっているのか、向こうへ飛び去っているのかがわかるという寸法。

3.実は結構おしりが太い。
  普段見ることができない角度から飛行機を見学できるのが、このツアーのウリ。普段、横向きの写真ばかりだから気づかなかったけど、真後ろから見た飛行機は、結構おしりが太い。

4.見学ができるのは「新整備場」駅から。
  ややこしいことに、モノレールには「整備場」と「新整備場」それぞれの駅がある。ええ、間違えましたとも。ご注意を。

5.帰りは近く感じる。
  新整備場駅から約10分、一直線の道を歩くので、かなり遠い。が、これだけ大きいものを見た後だと、帰りが妙に近く感じる。

 まぁ、後半はどうでもいいことばかりだけど。

 とにかく、いろいろ発見があり、驚きがあるANA整備工場見学。「それがタダなのよ奥さん」と近所中に知らせて回りたい気持ちでいっぱいだ。

 今回、撮影にあたって一部特別な許可を得ているため、通常の見学では見ることのできない角度から撮った写真が一部ある。なので、全く同じ角度から見ることはできないかもしれないけど、あしからず。見学に行く際はガイドさんの言いつけをシッカリ守って回ること。

 きっと、今までにない体験になるはず。

見学の概要、お申し込みは以下より
http://www.ana.co.jp/cp/kengaku/main.html